Publish 2022.12.31
ピント合わせに使用する磨りガラスはアナログなカメラにとってレンズの次に重要な要素でフォーカシングスクリーンと呼ばれる。 古くはカメラ・オブスクラに磨りガラスが使われて以来、現代でも大判カメラでは磨りガラスが使用されている。 一眼レフカメラでも初期はガラス製だったようだが、ケミカルエッチングの樹脂で代用されるようになったみたいだ。別に業界の人ではないので詳しいことはわからないが。
歴史はさておき、フォーカシングスクリーンを自作するにあたって色々試行錯誤したので記録として残しておこうと思う。
すぐに思いつく磨りガラスっぽいものと言えばコレでしょう。入手性も加工性も高いのでこれがフォーカシングスクリーンとして使えたら最高だったのだが世の中そう簡単にいかない。 フォーカシングスクリーンとして使うには少し目が粗いのと、ちょっと明るすぎた。 何種類か試したが粗さや質感にほとんど変わりはなかった。
上の写真だと、周辺をよーーーく見ると目の粗さが少しわかるかも。とはいえ像は綺麗に映るのでその値段と作業効率を考えるとかなり使える。 実際こちらの製品ではスクリーンとしてクラレのパラグラス片面マットを採用しているのでフォーカシングスクリーンとして使えないことはない。
でも、ルーペを使ったシビアなピント調整に使うにはちょいと粗すぎる。
粗すぎるといっても微妙な差。今更だがこの記事で紹介している方法は本当に微妙な差しかない。
ぱっと見全部一緒で写真では違いが伝わらないのであしからず。
小学生向けの簡易的な工作としてカメラ・オブスクラを題材にした場合、スクリーンとしてトレーシングペーパーやクッキングシートが使われることが多い。 トレーシングペーパーだと目が粗すぎるのと繊維が邪魔になるのはわかっていたが、調べていくと高級品として樹脂製のトレーシングフィルムなるものがあるのを知った。
・桜井ケミカル テラミスTR-200 製図用ケミカルマットフィルム 50μm
・SAKAEテクニカルペーパー Zマットフイルム 200Z
50μm
こういう薄いシートを透明アクリルで挟んで使おうと思ったがまたもや微妙な差で採用ならず。 かなり良い線は行ってた。 目の粗さはちょうどいいんだけど、フィルム自体が乳白色?なのかどうしても暗くなってしまう。 像は綺麗に写ってるんだけど全体的に白みがかって見えるというか。でも前述のようにほんと微妙な差なので使えないことはない。 似たようなものとしてマットタイプのラミネートフィルムも同じような質感だった。 金額は断然こちらの方が安いしちょっとした工作用途にはラミネートフィルムがおすすめ。 暗いけれどDOFアダプターを自作する際には使えるかもしれない。
余談だが、DOFアダプターにとってもスクリーンの目の粗さというのは非常に重要で、 この解決策としてスクリーン自体をモーターで振動させて粗さを目立たせなくするという方法があるらしい。なるほどなと思った。 なんていうか凄く力技な解決策な気もするけど合理的だ。モーターで振動させれば素材選びなんてある程度適当でも問題ないだろう。 まぁ、個人的には素材選びに時間とお金をかけて余計な機能を省けるならそれに越したことは無いと思うが。
アクリルもマットフィルムも使えそうなものを片っ端から買い漁って試すだけなので先が見えない。 例えばもっと明るくしたいと思っても何も出来ない。 結局のところ1から磨りガラスを作るのが一番簡単だった。 というわけで本題のガラス手磨きに辿り着く。 個人で作れるレベルのフォーカシングスクリーンとしては今のところ最高の品質だと思う。 作る手間さえ気にしなければ。
初めは最適な番手がわからなかったので、粗いものから細かいものまで色々試すことにした。 研磨には新潟精機のポリッシングパウダーを使った。比較的安価で少量なので複数試すにはちょうどよかった。
研磨にはガラスが2枚必要だ。研磨剤と水をガラスに挟んでひたすら円を書くように磨いていく。感触だけではほとんどわからないので磨けたかなと思ったら一旦洗って確認するという手順だ。
ご覧のように写真では違いがわからない。実際に磨りガラス越しに像を見ないと違いはほとんどない。 #400以下は明らかに粗く、#1200以上は逆に細かすぎて磨りガラスというよりちょっと曇ったガラスという感じになっていく。
これらを比較してみて番手は#1000に落ち着いた。もうほとんど好みとかの領域で、 #600でも#800でもスクリーンとして普通に使えるので好きな番手を選んだらいいと思う。
研磨用に使うガラスは指数本で押さえれる40mm角ぐらいの小ささがいい。あまり大きいと磨けてる部分がわかりづらいのでこのぐらいのサイズが使いやすい。意外と腕が疲れるので一度にたくさん作るのは難しいが4x5サイズぐらいだったら15分もあれば出来上がる。
ツルツルなガラスから綺麗な磨りガラスが出来上がるのは思いの外テンションが上がるのでお試しあれ。
このカメラ・オブスクラも手磨きのガラスなんだけど、これを作る際にNikonのFM3A用のフォーカシングスクリーンとも比較してみたが、ほとんど遜色無い見え方だった。 Nikon EMについていた古いタイプのスクリーンとも比較したら明らかに手磨きのガラスの方が見やすかった。機種は限られるだろうけど古い一眼レフのスクリーン交換にも良いかもしれない。